- CBDとは何か知りたい
- CBDの効果や健康への影響
- CBDの安全性や注意点を知りたい
最近よくCBD入りの商品を見るようになったけどあんまり詳しくCBDについて知らないなあ。
CBDはリラックス効果や不眠対策として期待される成分です。日本でも最近よく目にしますよね。
うん。眠れないこと多いから試してみたいけどなんか少し怖くて・・・
確かに。あまりなじみもないので使うのにためらう人もいるでしょう。今回は科学的な根拠や研究結果とともにCBDについて少し理解を深めていきましょう。
CBD（カンナビジオール）をご存知ですか？
大麻草の成分の１つでリラックスできると英国でサプリやお菓子で販売され始め、今、注目されています。
自分の健康は自分で守る、セルフメディケーションの時代です。CBDは健康な成人が生活に上手に取り入れればとても心強い味方になるでしょう。そんなCBDを生活に上手に取り入れるために、まずCBDについてよく知っておきましょう。
今回は今、巷で話題のCBDについて解説します！
- CBD使ってみたいけどなかなか手が出せない
- もう少しCBDの科学的な根拠を知りたい
- CBDが本当に安全か不安、または注意点を知りたい
- CBDは依存性がなく違法ではない。
- ６つの健康への効果が期待できる
- CBDは国内で販売されているものを適量摂取しよう
今注目のCBDとは？
CBDとは大麻草の成分の1つで、天然に存在する物質ですが、化学合成でも作ることができます。
既に、てんかんの治療薬として製剤化されており、日本でも2022年4月から治験が始まり、その他にも健康のために有用な影響があるかもしれないという多くの科学的証拠がある注目物質です。
CBDは違法なの？
CBDは違法ではありません。なぜなら、違法のイメージの主はTHC（テトラヒロドカンナビノール）で、CBDは全く別の成分だからです。
実は、大麻草には100種類以上のカンナビノイドという生体に影響を与える物質が含まれています。CBDもTHCもそんなカンナビノイドの１つです。
注意が必要なのは、THCは麻薬に指定されているので、所持、譲受・譲渡などでも違法になります。
ここでは CBDとTHCの違いについて解説します。
CBDとTHCの違い
CBDとTHCの化学構造式は以下の通りです。
同じ大麻草に含まれている成分なので、非常に良く似ていますが、違います。
以下にそれぞれの特徴をまとめました。
【CBDとTHCの特徴】
| 抽出部位 | 依存性 |
CBD | 茎、種子 | なし |
THC | 花、穂、葉、根 | あり |
THC は鎮痛効果がある医療用大麻としては使用可能ですが、その他に生じさせるのは幻覚、記憶への影響、学習能力低下などです。
では、CBDはどうなのでしょうか？なんとCBDが一般的にTHCと反対の生体への影響を持つという報告があります。
Neuroimaging studies of acute effects of THC and CBD in humans and animals: a systematic review
【研究内容】
- 急性大麻摂取時、ヒトや実験動物の脳機能への影響を神経画像処理を用いて評価した研究を集め、結果を再評価
- 文献 データベースで2012 年 6 月までに公開された論文のうち、事前に策定した基準で論文を選択
- 224 件の研究のうち45 件が選択基準を満たしていた（ ヒト24件で、動物21件）。
45件の研究を再評価した結果、著者らはTHC と CBD は反対の神経生理学的影響（体への影響）を持っていたと結論しています。
CBDに期待される影響は6つ
CBD は単一成分ですが、体内のさまざまな受容体に働きかけることで多様な影響を示します。
以下にCBDを含むカンナビノイドに反応する受容体の分布を挙げました。
【全身に分布するカンナビノイド受容体（CB1,CB2)】
受容体とは、簡単に説明すると神経伝達物質やホルモンに反応するスイッチのようなものだと思ってください。
西洋薬が正か負か一方の作用であるのに対し、CBDは状況に応じて正にも負にも働くので、CBD の疾患への影響は複雑で解明が難しいです。そのため、CBDの治療効果についての研究は未解明の部分も多く、まだ途上と言えます。
それらの研究の結果から、CBDに期待される主な影響は以下の6つです。
- リラックスおよび精神的な幸福
- 皮膚の炎症状態への影響
- 肥満への影響
- 糖尿病合併症への影響
- 依存への影響（タバコなど）
- 口腔内への影響
以下に1つずつ解説していきます。
リラックスおよび精神的な幸福
CBDを摂取すると緊張するパフォーマンスへの不安要因スコアを減少させるという報告があります。
Translational Investigation of the Therapeutic Potential of Cannabidiol (CBD): Toward a New Age
【研究内容】
- 健康なボランティア 15人
- CBDとプラセボ（偽薬）を使用
- パブリック スピーキング テスト ：ビデオカメラの前で数分間話す
- パフォーマンス中の主観的な不安の状態(VAMS)を測定
このテストでは、CBD300㎎ で有意にVAMSが低く、150㎎、600㎎でもVAMSは低下しました。
これはCBDが主に抗不安薬の標的である受容体の活性化や受容体作動薬として影響するため、精神的な幸福を与え、リラックス感が得られるためと考えられます。
カンナビジオール（CBD）の 診療と新薬 Web 薬理学と臨床応用［PartⅡ］
リラックス感や精神的な幸福は睡眠にはとても大切です。だからこそ、睡眠関連の商品でCBDの含まれるものが多くなってきているんですね！
皮膚の炎症状態への影響
CBD では試験管内や生体内モデルで炎症性サイトカインおよび経路の阻害がある（炎症反応が起きないようにする）と報告されています。
さらにアトピー性の皮膚への局所投与で重症度スコアや手湿疹問診票における生活の質、かゆみスコアの改善が見られたとの報告もあります。
カンナビジオール（CBD）の 診療と新薬 Web 薬理学と臨床応用［PartⅡ］
肥満への影響
CBDは受容体を活性化し、脂肪分解や体熱産生の増強、脂質形成の減少を起こすと報告されています。
カンナビジオール（CBD）の 診療と新薬 Web 薬理学と臨床応用［PartⅡ］
糖尿病合併症への影響
CBDは糖尿病合併症に影響を及ぼす可能性があります。
報告されているのは、糖尿病心筋症の心機能障害や線維化の軽減への影響です。
カンナビジオール（CBD）の 診療と新薬 Web 薬理学と臨床応用［PartⅡ］
依存への影響（タバコなど）
CBD にオピオイド、コカイン、覚醒剤中毒の治療に有効だったという結果があり、これは大麻及びタバコ中毒に有益かもしれないとの報告があります。
口腔への影響
歯垢中の細菌に対してCBD含有の歯磨き粉が菌の増殖へ影響するという報告があり、口腔への応用も期待されています。
【研究の内容】
- CBD製品は1% CBD粉末を添加した歯磨き粉
- 患者12人：6人は通常の研磨治療、6人はCBD添加の研磨治療
- 各治療の前後に歯垢サンプルを採取、コロニー形成単位 (CFU) を分析
研磨処理前後の歯垢中のコロニー数の比較
CBD-supplemented Polishing Powder Enhances Tooth Polishing by Inhibiting Dental Plaque Bacteria
グラフAはCBD添加研磨処理の歯垢サンプルでコロニー形成状態を示していますが、グラフBと比べて明らかに大幅に減少していますね。
上記の結果から口腔への応用も期待されています。
カンナビジオール（CBD）の 診療と新薬 Web 薬理学と臨床応用［PartⅡ］
CBDの摂取方法
CBD製品として日本で販売されているものには以下の4つがあります。
- 舌下摂取（CBDオイル）
- 経口摂取（CBDガムやグミ）
- 気化吸入（CBDベイブ）
- 経皮摂取（CBDバームやクリーム）
それぞれの製品の特長に応じた摂取の仕方が大切です。
以下に1つずつ解説をします。
舌下摂取（CBDオイル）
舌の下部にCBDを垂らして90秒前後置いてから飲み込みます。
舌には多くの毛細血管が集まる粘膜組織です。そのため、舌からCBDが入り込み。毛細血管から直接血流を巡ってくれて、CBDの効果が大きくなることが期待できます！
経口摂取（CBDガムやグミなど）
CBDをグミやガムで摂取することで、口から消化管を通じて取り込まれ、肝臓で代謝を受けた後、血流で全身に運ばれます。
ここで注意なのは食べ過ぎないことです。確かに美味しい味付けもあり、たくさん食べたくなりますが、総摂取量として上限（以下で説明）を越えるまで食べ過ぎないことが重要です！
気化吸入（CBDベイプ）
電子タバコを使い、CBDリキッドを気化して吸い込みます。
肺に入った蒸気から肺胞の毛細血管に入り全身を巡るので、高い吸収率と即効性が特徴と言えます！若い人に人気な摂取方法ですね！
経皮摂取（CBDバームやクリーム）
直接、肌に塗布します。
この場合、CBDは塗布部位の細胞・組織に局所的な影響を及ぼします。しかし、効果が現れるまでに1～2時間、持続時間は4～6時間と言われています。
それぞれの摂取方法の特徴を考えて、自分に最適な摂取方法を見つけましょう。
CBD製品を選ぶ時の注意（輸入について）
CBD製品を選ぶ時には国内で販売されている合法のものを購入されることをおすすめします。
なぜなら個人使用目的の少量の個人輸入であっても、厚生労働省と税関の輸入許可がなければ、入手できないからです。
輸入する場合はCBDにTHCが含まれていないことを確認するために、海外メーカーから証明書、成分分析書などを取り寄せ、厚労省へ提出し、許可を取り、税関もしくは厚労省の検査でTHCの含有量検査を行わなければなりません。
「THC含有なし」の結果が出れば手に入りますが、検査でTHCが検出されれば没収もしくは「大麻に該当するもの」を輸入したとして大麻取締法により処罰を受ける可能性があります。
大麻は輸出も禁止されているので相手国に返送することもできません（返品できない）。
ですので、国内で販売されているものはそもそも厳しい基準クリアした安心安全なものと考えられます。CBD製品は国内で販売されているものを購入することをおすすめし、海外のサイトや通販での購入は控えましょう。
【注意】CBDの摂取量
CBDの摂取量は英国食品基準庁（EFSA）の助言によれば健康な成人は1日70㎎までです。
その理由は1日70㎎以上だと健康に有害な影響を起こす可能性があるためです。
健康的な成人も医師の同意がなければ1日70㎎以上摂取しないように、また妊婦・授乳婦、医薬品を服用している人達などは影響を受けやすいので、CBD製品を摂取するべきではないとも助言しています。
CBDの摂取量は健康な成人で1日70㎎まで、これをしっかり守って摂取しましょう！
食品安全情報（化学物質）No. 5/ 2020（2020. 03. 04）
摂取量を守ってCBDを上手に生活に取り入れよう！
大麻草成分ということで警戒する方もいると思いますが、日本国内で販売されているCBD製品は安全に摂取できるものです。
しかし、米国の食品医薬品局（FDA）からもEFSAと同様の注意勧告が出ています。
健康な成人が、摂取方法、摂取量や摂取上の注意を守って正しく摂取すれば、生活の質を上げ、健康で暮らすための少し疲れた時の強い味方になりそうですね。
CBD製品を強い味方にするために、まずCBD製品についてよく知りましょう。
まとめ
今回はCBDについて、科学的な根拠をもとに解説していきました。
違法なものでなく、健康への良い影響も期待はできます。しかし、しっかりとしたものを購入して適切な量を摂るようにしましょう。
