- 睡眠と学習の深い関係性の理解
- 睡眠不足による学習への悪影響の防止
- 勉強の効果を発揮する睡眠方法の取得
今年は受験生だから、最近は寝る間を惜しんで勉強しているよ!
バーくん、「寝る間を惜しんで勉強」って聞こえはいいけれど、実は睡眠時間を増やした方が学習に効果があるんですよ。
そうなの!?でも、勉強時間が長い方が頭に入りそうだけど…
様々な研究で睡眠と記憶定着の深い関係が見えてきたんですよ。では今回は睡眠と学習について紹介していきます。
- 勉強の成果を最大限発揮したい
- 勉強に追われているけれど、どのくらい睡眠に時間を割くべきかわからない
- つい最近覚えたことが定着していない
- 勉強と睡眠の関係性とは
- 睡眠不足が及ぼす学習への悪影響とは
- 具体的にどのように勉強するべきか
睡眠と学習の深い関わり
睡眠と学習は切っても切れない関係を持ちます。以下に学習と関係のある分野での睡眠の効果をご紹介します。
記憶の定着
よく、勉強のために睡眠時間を割くことを神格化しますが、科学の観点から見るとこれは間違った勉強法と言えるでしょう。
睡眠時間を削ることで、一時的に記憶には残りますが、少し時間が経てばすぐに忘れてしまうとの研究があります。人間の記憶は主に短期記憶と長期記憶の二つに分類され、短期記憶は脳内の海馬に一時的に保存され、約1〜2週間海馬内に留まります。その記憶の中で重要度の高いと判断されたものが大脳新皮質の側頭葉へと睡眠中に移動し長期記憶となります。よって睡眠不足は短期記憶を長期記憶に変える十分な時間を欠いてしまうため、一時的にしか記憶を留めておけないのです。
https://selfcreate-mito.comより引用
皆さんもこんな経験あるのではないでしょうか。定期試験前に勉強しなければならない範囲が終わらないからと徹夜で勉強してそのテストは乗り切ったものの、テストが終わった瞬間、あるいは数日経ったら内容を全て忘れてしまったなどの出来事はこの脳の構造に由来します。
ストレス解消
睡眠は本来、内分泌系のバランスを整えます。
ストレスが発生するとストレスを和らげるために副腎からコルチゾールとアドレナリンというホルモンを分泌して、体の警戒感を高めます。ストレスに対応するためには欠かせないホルモンですが、警戒感を高めたままでは自律神経のアンバランスを引き起こし、些細なことで苛立ってしまったり、気が散りやすくなってしまいます。
そして睡眠不足が慢性的に続くと血中のコルチゾール値が高くなってしまい、さらにストレスがたまりやすくなってしまいます。
この負のループを抜けるには睡眠時間をきちんと確保するほかないのです。
疲労回復
睡眠には脳と体どちらも休ませ疲労を回復させる効果があります。
日中の活動時間んい忙しなく働いている内臓も睡眠時には動きがゆっくりとなり、全体的に体がリラックスモードで最低限のエネルギーを使う状態に入ります。
中でも睡眠の二つの型、ノンレム睡眠とレム睡眠のうちノンレム睡眠時には深い眠りの状態になり、さらに深くなるにつれて脳波の振幅が徐々に大きくなります。この深いノンレム睡眠のときにこそ脳は休息を取ることができ、疲労回復の役割を担います。
睡眠不足による学習への悪影響
それでは実際に睡眠時間を削って勉強をした結果どのような作用が引き起こされるのか見ていきましょう。
集中力の低下
本来なら睡眠を十分に取ることによって解消されるはずの脳や体の疲れから脳機能が低下し、学習時の生産性だけでなく学習に対するモチベーションが低下します。モチベーションを発生させるには記憶の整理と脳の錯覚が必須です。
先ほど紹介した眠りが浅いとされるレム睡眠時に記憶の関連付け作業を行い、その上で次回その記憶に関連する情報を脳がキャッチしたときに思い出す役割を果たします。そして脳の覚醒は集中力を向上させ、その恩恵を被ることによって作業効率が上がります。
精神的な体への負担の増加
睡眠不足は人の精神状態に大きな影響を与えます。睡眠が足りないと交感神経が優位になることにより、苛立ちや当てもない不安が募ってしまい、勉強どころではなくなってしまいます。最も悪い影響として、睡眠の問題があると精神的疾患にかかりやすく、自殺のリスクが高くなってしまうという調査の結果が報告されています。(米医学誌「SLEEP」9月号より)
睡眠を削るということは大袈裟に言ってしまえば命を削ると同等の行為になりうります。ここで改めて睡眠の重要性を頭に入れましょう。
勉強の効果を最大にするための睡眠方法
睡眠時間は7時間半が目安
人間の知識の定着はレム睡眠とノンレム睡眠の繰り返しによって完了します。つまり効率的に記憶力を高めるためにはこれらのサイクルをより多く繰り返すことが鍵となるわけです。
レム睡眠とノンレム睡眠のサイクルは90分と言われています。つまり90分をより多く繰り返し、かつ睡眠過多になりすぎない時間というのが7時間半なのです。
暗記をするのは睡眠の直前
就寝時間前が一番記憶に残りやすいという言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。実際に研究を通してこのことが証明されています。長期記憶になる情報群は直前のものを優先として移動が行われるため、睡眠直前に脳内に入れたフレッシュな情報がその日の情報の中で一番記憶に残りやすいのです。そのため覚えたい英単語や歴史の出来事などは寝る直前に勉強をするようにしましょう。
復習をするのは起きてすぐ
上記にある通り、夜寝ている間に記憶が整理されます。つまり朝起きてすぐが一番脳が整理されているタイミングであり、夜に頭の中で整えた情報をさらにもう一度頭に入れることで、脳にその情報が重要であることを再度知らせることができ、長期記憶として残りやすくなるのです。
また復習時間は日中に当てるよりも朝のルーティンとして普段の予定に組み込みやすいでしょう。ただし、朝普段よりも早く起きることになるため、睡眠時間を削らないためにも早めに寝ることを心がけることが重要です。
仮眠の導入
勉強中の仮眠といえば、よく学生の皆さんが直面する問題ですよね。15分の仮眠の予定だったはずが起きれなくて、気がついたら2時間も昼寝をしてしまっていたなんて経験はないでしょうか。
眠気と戦いながらの勉強は効率が決して高くないので無理して起きて勉強することはありません。実際に仮眠の種類によっては効率アップを促進すると言われています。
ここでは仮眠時のNG行為と仮眠の効果的な取り方について触れていきます。
長時間の仮眠は逆に効率を下げる
勉強に疲れたから少し寝ようと思って布団に入って眠ってしまったことはありませんか?仮眠を取ることはいい息抜きになりますし、長さによっては大きな効果を発揮します。しかし、逆に効率を下げてしまうのが長時間の仮眠です。
先ほども触れたように、睡眠はノンレム睡眠とレム睡眠を繰り返しています。浅いレム睡眠であれば寝起きもスッキリ目を覚ますことができますが、深いレム睡眠になってしまうと体が熟睡をする状態へと移行してしまい、目覚めの悪さを引き起こす上に、眠ったはずなのに体が重たくなってしまい、疲労感を与えてしまいます。
さらに悪いことに、夜眠りづらくなり、睡眠サイクルに悪影響を及ぼしてしまいます。
仮眠をするときの姿勢
勉強している時に眠くてどうしても勉強が捗らない。そんな時は座った状態で寝てみましょう。横になって寝るよりも体が熟睡モードになりにくく、浅い眠りかつ質の良い仮眠が取れるため、目覚めた時にスッキリ感を得ることができるでしょう。
仮眠を取るときは目覚ましをかける
勉強に疲れた時に当てもなく仮眠を始めてしまうと体も頭も疲労困憊の状態のため、脳が睡眠を求めている状態のため、必要以上に多く寝てしまうことがあります。そんな時には目覚ましを設定して、眠り過ぎを防止しましょう。
効果のある仮眠は何分?
これまでに行われてきた研究によると10分から20分ほどの仮眠はかなり勉強に効果的とされています。特にパワーナップといってアメリカの社会心理学者ジェームス・マースによると昼食後から午後3時までに20分の仮眠をとると8時間寝ることと同じ程度の疲労回復効果があるとの報告(Miracle Sleep Cure: The Key to a Long Life of Peak Performanceより)があります。勉強した直後に寝ることでさらに脳の整理をすることができ、効果的な学習が期待できます。