皆さんは「睡眠のシンデレラタイム」という言葉をご存知でしょうか?
以前は夜に睡眠を取らなければ、成長ホルモンの分泌が減少するとされていました。そのため、睡眠のシンデレラタイムとよばれる午後10時から午前2時の間は寝ている方がいいと言われたことがあったと思います。
しかし最近の研究では、そのような「夜に寝る」ことだけが成長にメリットがある訳ではなく、日中であってもぐっすりと睡眠を取ることで成長ホルモンが分泌されることがわかってきています。
睡眠のシンデレラタイムは本当に存在するのでしょうか。
今回は、睡眠のシンデレラタイムの真偽についてご紹介したいと思います。
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睡眠の質と成長ホルモンの分泌には深い関係がある。
成長ホルモンの分泌は、睡眠直後まもなく始まる徐波睡眠(=ノンレム睡眠)の開始とともに突発的に多くなることがわかっています。特に若年層では、1日に分泌される成長ホルモンの割合が。
男性の場合、睡眠時に6~7割、女性の場合は、5割未満ですがある程度の分泌があるとされています。(50歳といった壮年期になってくれば、成長ホルモン自体の分泌が減少するためあまり関係がなくなってきます。)
睡眠にシンデレラタイム(午後10時~午前2時)はあるのか?
「夜10時から深夜2時はシンデレラタイム」といわれますが、結論から言って睡眠のシンデレラタイムは存在しません。
では、なぜこのような言葉が広まってしまったのでしょうか。
それはテレビや雑誌で「夜10時から深夜2時に成長ホルモンが分泌されるため、美容や子どもの成長に良い」と紹介されたことがきっかけでした。しかし、周りを見渡すと肌が綺麗な人や身長が高い人が必ず夜10時から深夜2時に寝ているかといわれるとちょっと違う気もしますよね。
本当に成長ホルモンは夜10時から深夜2時に分泌されるのでしょうか。
成長ホルモンは深い睡眠中に分泌される
成長ホルモンが分泌される時間を調べてくれた研究があります。研究では、15~20分間隔で健康な成人男性から採血した血漿中のホルモン濃度を分析し、睡眠段階と成長ホルモンの分泌量との間に時間的な関係があるかどうかを調べました。

図1:血漿中の成長ホルモン(GH)濃度

図2:深い睡眠(slow-wave)時間

図3:成長ホルモン濃度と深い睡眠との関係
その結果、成長ホルモンは睡眠中に分泌され、1日の成長ホルモン分泌量の60~70%が深い睡眠中に生じるということがわかりました。成長ホルモンが分泌されるのは、夜10時から深夜2時ではなく、「深い睡眠中」ということが分かったということになりますね。
睡眠中の脳は完全に休むわけでなく、昼間とは異なるモードで活動をしています。「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」という言葉をよく聞きますが、前者は体が眠っていながらも脳が活発にはたらく浅い睡眠で、後者は、脳の活動がほとんど停止している深い睡眠のことです。レム(R E M)とは高速眼球運動のことで、レム睡眠の時は、まぶたの下で眼球が動いているためこのように呼ばれています。
学生の頃、授業中居眠りしている友人のまぶたを上げると、眼球が動いていたことを思い出します。
これらの結果が示したことは、深い睡眠であるノンレム睡眠時に成長ホルモンが分泌されるということです。
さらに、ノンレム睡眠時間が長くなるほど、成長ホルモンの分泌が増加することがわかりました。また、成長ホルモンの分泌のピークは、深い睡眠の開始から1分以内に起こることが示されました。意外とはやいですよね。
睡眠時間による成長ホルモンの分泌量の変化はあるのか?
では、睡眠時間の長さと成長ホルモンの分泌量についてどうかというと、睡眠開始直後に成長ホルモンの分泌量が増加するため、睡眠時間の長さによる影響はあまりないと考えます。
しかし、徐波睡眠の状態で成長ホルモンが分泌されやすいことから、睡眠時間が短すぎると、成長ホルモン分泌が抑制されます。
睡眠時間が足りない場合や睡眠の途中で目が覚める(起こされる)といったことが多くなれば、必然的に成長ホルモンの分泌を抑制されてしまいます。
したがって、ある程度の睡眠時間が必要となります。基本的に徐波睡眠(=ノンレム睡眠)は90分周期で起こります。また睡眠時間が長くなるとその分徐波睡眠時間も延長されますので、一度睡眠に入れば3時間程度の睡眠を取ることが理想だと言えます。
(成長ホルモンは、徐波睡眠時に多く分泌されますが、それ以外の睡眠時間にも分泌されていますので睡眠時間が長時間化すればその分、成長ホルモンの分泌される総量は多少は増加すると考えてもいいでしょう。)
夜勤に従事している場合の成長ホルモンの分泌はどうなるのか?
夜勤に従事している場合はどうなのかというと、体には恒常性を維持するという機能があります。これは、体の状態が一定に保てるように維持しようとする機能です。
この機能があることによって、睡眠時間が足りない場合であっても、覚醒中にある程度の成長ホルモンが分泌されます。
また足りていない睡眠時間が充足された場合には、より多くの成長ホルモンが分泌されることもわかっています。(例えば、夜勤の次の日にはよく眠るといった行動によって成長ホルモンの分泌量が補正されます。)
成長ホルモン(グロースホルモン)
「寝る子は育つ」といいますが、この言葉は睡眠によって分泌される「成長ホルモン」のことを表していますね。
成長ホルモンは骨や筋肉を成長させるだけでなく、代謝を促進したり、脂肪の分解を促進したりするはたらきもあります。もちろん肌の修復も促進します。
そのため質の悪い睡眠は不健康を招いてしまい、また老化に伴い成長ホルモンの分泌量は減少してしまいます。
最近の研究では、成長ホルモン分泌促進剤をヒトに投与すると、睡眠障害が改善されることも研究によりわかっているため、睡眠障害の治療薬としても期待されています。
成長ホルモンを確保する為には良質な睡眠を
上記のように、睡眠の途中での覚醒等がある場合や夜勤等で睡眠時間が不足している場合には、成長ホルモンの分泌は抑制されてしまいます。
よって、もし寝るのであれば、3時間以上睡眠が取れる状態で取ることが重要となります。ただし、そんなに寝る時間がないと言った場合はしかたがありません。睡眠を取らないよりは取った方が成長ホルモンの分泌にはいいと考えられます。

・体温を上げておくこと
・血糖値を下げておくこと
・4時間前にはカフェインを断つこと
結論として、成長ホルモンの分泌には、睡眠時間の確保(3時間以上)、途中覚醒をしないような睡眠環境を整えることや深い睡眠が重要であり、シンデレラタイムと呼ばれる午後10時~午前2時に入眠する必要性は無いと言うことになります。
シンデレラタイムという言葉に惑わされず、良質な睡眠と睡眠時間を確保することで成長は促されると考えることが大切です。
寝られない場合は、寝られるまでお気に入りの本を読んだり、ホットミルクを飲んだりと言った睡眠を取りやすい習慣を身につけることも大切です。