- 睡眠不足で太る原因がわかる
- 寝すぎによるリスクがわかる
- 太りにくい睡眠時間がわかる

最近根不足が続いているし、なんだか太ってきたような気がする・・・

実は睡眠時間と太ることには関係があるんです。

そうなんだ!でも、なんで睡眠時間と太ることに関係があるんだろう。

そうですよね。そこで今回は、睡眠時間と太ることの関係性について、深堀りしていきましょう。
- 睡眠不足になると食欲増進ホルモンが増える
- 睡眠不足になると脂肪分解がスムーズに進まなくなる
- 睡眠不足になると空腹感を強く感じやすくなる
- 寝すぎでも太ることにつながる
- 適度な睡眠時間は人によって異なる
睡眠不足でイライラしてしまったという経験は誰にでもありますよね。
睡眠は人間の基本的で重要な欲求の1つですが、その睡眠は食欲と密接に関係しています。ダイエット中であるか否か問わず、常に美しくありたい女性の方、必見です。
そこで今回は、睡眠と太ることの関係性について解説していきます。
眠らない女性は太る?その理由3つ
眠らない女性は太ります。それは以下の3つ理由からです。
- 食欲増進ホルモンが食欲増進へ傾いてしまう
- 成長ホルモンが減少し、脂肪分解がスムーズに進まなくなってしまう
- 脳活動が変化するので空腹感を強く感じ、カロリーの高い食品を食べたくなってしまう
この3つの理由について詳しく解説します。
食欲調整ホルモンが食欲増進へ傾いてしまう
睡眠不足になると、食欲抑制ホルモンのレプチンが減少し、食欲増進ホルモンのグレリンが増加するという報告があります。
- ボランティア1,024人
- 空腹時血液サンプルで食欲調節ホルモンのレプチンとグレリン 濃度などを測定
- これらの測定値、BMI、睡眠時間(自己申告)との関係を調査
この研究が示す結果は以下に示す通りです。
上のグラフからは睡眠時間が短くなるほど食欲抑制ホルモンレプチンの濃度は低くなり、下のグラフからは睡眠時間が短くなるほど食欲増進ホルモングレリンの濃度が高くなっていることが分かります。
つまり、睡眠時間が短くなるほど、食欲調整ホルモンは食欲を増進させる方向へ向かっていくということです。
さらに、睡眠時間の短さは肥満の指標となる体格指数(BMI: Boby mass index)が高くなる原因にもなります。睡眠不足になると食欲が増進され、体重が増えることにつながるため、しっかりと睡眠をとるようにしましょう。
成長ホルモンが減少し脂肪分解がスムーズに進まなくなってしまう
睡眠不足のために成長ホルモンが減少すると脂肪分解がうまく進まなくなります。成長ホルモンには脂肪分解作用があり、これが脂肪組織に作用して体脂肪を減少させるからです。
人間は消費できないエネルギーを脂肪細胞に中性脂肪として蓄えており、成長ホルモンには脂肪細胞に蓄えられた中性脂肪を分解してエネルギー源にする働きがあるんです。
下に成長ホルモン濃度濃度の24時間の推移のグラフを挙げました。
上記のグラフから、成長ホルモン濃度(分泌)は性差、加齢で変化しますが、睡眠と密接な関係があることが分かります。
成長ホルモンを支配しているのは約1日の周期という概日リズムです。
若年成人では成長ホルモンの分泌は睡眠開始に関係していますが、中高年者では睡眠開始前にも分泌があり、また両者ともに概日リズムで分泌していることも上記のグラフから分かりました。
睡眠不足だと成長ホルモン分泌が減るので、脂肪分解がスムーズに行われにくくなるので太りやすくなります。
脂肪分解を正常に進めるために、成長ホルモン分泌の多い夜は十分睡眠を取るようにしましょう。
脳活動が変化するので空腹感を強く感じカロリーの高い食品を食べたくなってしまう
睡眠不足になると脳活動が変化して空腹感を強く感じ、カロリーの高い食品を食べたくなるという報告があります。
この研究はいわゆる疫学研究ではなく、被験者をある条件において実験を行なったものです。
- 被験者23人
- 睡眠不足の日と十分に睡眠をとった日を設ける
- 各々の翌日に80種類の食べ物の写真を見せ、どれをどれくらい食べたいかを選択させる
- その時の脳の活動をMRI検査で観察する
*MRI検査:磁気と電波で細胞組織の動きを把握するための画像撮影検査のこと。
左の図が低カロリー食品と高カロリー食品への要求度を、右の図は眠気と高カロリー食品への要求度との関係を表しています。
また、グラフaの灰色バーが睡眠十分時、赤色バーが睡眠不足時の結果で、低カロリー食品、高カロリー食品への要求度を示している。
このグラフから、低カロリー食品に対しての要求度には有意差がありませんが、高カロリー食品に対しては睡眠不足時が有意に高い要求を示していること、グラフbでは眠気が高くなるほど、高カロリー食品への要求が高いことが分かります。
MRI検査の得られた結果は以下の通りになりました。
- 睡眠不足時は大脳皮質の食欲と満腹感を判断する領域に脳活動の低下が見られた
- 渇望に関連する脳領域に脳活動の上昇が見られた
睡眠不足だと満腹感を実感できなくなり、同時に非常に欲望を感じるようにもなるので、これがつい食べ過ぎてしまう原因である可能性が示されています。
睡眠不足だと、1日の終わりに、ラーメン、スナック菓子、チョコレートなどのこってりしたカロリーの高いものや甘いものをやたらと食べたくなり食べてしまった経験のある方も多いのではないでしょうか?
このように脳活動が変化したためと医学的にも裏付けられているので、睡眠不足の時に高カロリー食品をむやみに食べたくなるのは決して異常なことではないのです。
寝過ぎも注意!リスクがあります
寝過ぎの場合も気を付けなければなりません。寝過ぎて太る理由は以下の2つです。
- 動いている時間が短いので消費熱量が減少してしまう
- 睡眠の質が低下している可能性がある
次のセクションでは、この2つの理由について詳しく解説します。
動いている時間が短いので消費熱量が減少してしまう
睡眠時間が通常より長い場合もメタボリックシンドロームになるという研究報告もあります。
- 40~69歳の韓国人の男女133,608名
- 睡眠時間が6時間以下、6~8時間、8~10時間、10時間以上という4つのカテゴリーに分類
- 9年間にわたって追跡
参考:Association between sleep duration and metabolic syndrome: a cross-sectional study
その結果、睡眠時間が6時間以下と10時間以上の群でメタボリックシンドロームのリスクが判明したと報告されています。
面白いことに、10時間以上のカテゴリーの女性の胴囲は他カテゴリーの女性より大きいことが判明したとも報告されていました。
著者らが理由を考察していますが、その中の1つに挙げられてるのは寝過ぎると必然的に日中の活動時間が減るということです。
食事内容にもよりますが、1日の摂取熱量と消費熱量のバランスが取れなくなり、その結果として食べる量がいつもと同じでも、いつもより活動時間が短いので、十分に太る原因になります。
寝過ぎた場合は活動時間や活動内容に合わせた食事を摂るようにしましょう。
睡眠の質が低下している可能性がある
前述の研究の著者らも述べてますが、眠り方によっては寝過ぎると睡眠の質を低下させる可能性があるため注意しましょう。
寝過ぎそのものが原因ではありませんが、ダラダラと10時間以上も寝るのは睡眠が浅くなっていると考えられるからです。
睡眠が浅いと結果的に睡眠不足と同じであるため、質の悪い睡眠で寝過ぎた場合は太ってしまう原因にもなりえます。
ただ寝過ぎは、遺伝や体質で起こる「ロングスリーパー(長時間睡眠者)」、過眠症などの睡眠障害、うつ病などの精神疾患で起こる場合もあるため、一概には言えません。
体質や疾患などによる寝過ぎの理由がない方は寝過ぎにも注意しましょう。
太りにくい睡眠時間はどのくらい?
睡眠不足でも寝過ぎでも太ってしまうことを説明してきました。
では、太らないために、短すぎず、かつ長すぎない睡眠時間とはいったい何時間か気になりますよね。
前出の韓国の研究で適度な睡眠時間として「7時間」が挙げられています。しかし、必要な睡眠時間は体質、年齢など個人によって異なります。
「太らない=体重を適正に保つ」という点から考えるのであれば、日中の活動時間中に眠気が少なく、過度の食欲がわきにくく、心地よく活動できる「睡眠時間」がその人にとって、最も適切だといえるでしょう。
上記の7時間を目安に、自分にとって最適な睡眠時間を普段から自分で知っておくことをおすすめします。
自分ではよく分からないという方は、5時間以下という極端に短い睡眠時間、10時間以上という極端に長い睡眠時間を極力避けるということでも十分ですよ。
自分にとってちょうどいい睡眠時間で健康に生活していきましょう。